能登半島地震から1年が経ちました。被災からの工場設備補修と立て直し、社員の仕事復帰の手続きを通常業務もこなしながら淡々と行っておりました。
過疎や高齢化が進む中での大規模な震災と2次避難、その間の仕事の進め方や社員やその家族への寄り添い方など考えることが山積みで、だましだまし過ごせるかと思っていた10年、20年分が一気に1日で進んでしまったような感覚です。
人口流出や働く世代の減少問題、高齢化、親の住む場所や介護、子どもの学校や進路について、それにまつわる家族の問題などなど。
これらは私たちの工場では生産に直結する大問題です。
1人、1社で考えていてもできることは限られ、もはや中島や七尾だけでなく、ある程度のエリア規模でまちづくりや産業の復興について考え立ち向かっていかなければならないところまできており、そのようなうねりの只中にあります。
幸いなことに働く場としての工場が無事であった私たちが、この地域でできること。まずは雇用の継続と確保ということで、この後長く続くであろう復興に向かっていきたいと思います。
シルバー人材の活用
工場のある七尾市は古くから建具や繊維業などが盛んであったことから技術を持った職人が多い地です。しかし、過疎や生活スタイルの変化などから職人の仕事量が減少していました。
そこで私たちは、地域や社会に貢献できるものづくり産業を目指し、技術を持った高齢者を利用した椅子の張替え工場を稼動させました。シルバー人材の斡旋は市シルバー人材センターの協力のもと運営しています。
この地域に生業としてあった建具や縫製・板金塗装等の技術は椅子修繕に活かすことができる。また、廃業した職人さんにも、もう一度椅子修繕の場でその技術を活かし活躍してほしいと、地域や社会に貢献できるものづくり産業を目指し、この工場をスタートさせました。


豊かな経験や技術をもったシルバー人材は、何十年ものあいだ培ってきた職人技やノウハウを椅子の再生に役立てるとともに、ものづくりに関心のある若者への技能継承も行っています。
また、本来なら習得するまでに最低30年を要するとされる椅子づくりですが、各工程を完全分業として1つの作業に集中させることで、その工程特有の技術や知識が少なくても作業をマスターしやすく、効率的な作業を行うことができるという当工場独自の体制を確立しました。

過疎化に伴う人口減少が進む町で、今後も行政と連携を取りながら地域の雇用促進と経済の活性化を図り、地域に根ざした産業となるよう頑張ってまいります。